私たちの整体の考え方の基本は、自律系と運動系を独立した機能とは見なさずに、相互に関連した働きと考えます。したがって、どちらかに異常が発生した場合でも、その部分のみを特定して施術するというものではありません。
変形性関節症などの膝の痛みを例にとって考えてみると、この痛みは筋肉、神経、血管などのアンバランスによって、その関節を歪め、運動時の痛みとなって現れているのです。この関節を正常にするには、膝を動かすために必要な大腿・下腿・骨盤からの筋肉、その筋肉を支配する神経の出てくる腰椎を支えるための体幹(胴体)の筋肉、つまり全身の筋肉バランスを調整しなければ、治すことはできないのではないでしょうか。
鎮痛剤で痛み、そのものをごまかしても、このバランスの崩れを治さないことには、痛みの原因を除去したことにはならず、むしろ痛みを無理に抑えて運動を続けることによって、患部はさらに悪化するという結果を招きます。
私たちは、すべての体の異常は、手足の形や体幹の形の異常、あるいは体幹および手足の動きの異常となって現れると考えます。
痛みを抑えるための注射で、果たして生理的に何が治ったのでしょうか。あるいは、マッサージなどの刺激によって「気持ちがよかった」からといって、何が改善されたのでしょうか。”気持ちがいいこと”と”治ること”とは違います。痛みを抑えたからといって、治ったわけではありません。
わかりやすくお話しましょう。たとえば、糖尿病の人にまんじゅうを与えても、「ああ、おいしかった」といいます。”おいしかった”ということと”体にいい”ということは、まったく別です。また、糖尿病で目に異常が現れた人が目薬を差しても、糖尿病は治りません。
つまり、その人の体の異常(壊れ方)がどのように現れ、それがどう変わるのか。客観的にその治療効果が確認できなければ、本当の治療とはいえないのではないでしょうか。
上記のような場合、理学整体の施術がお役に立てると思います。