普通感冒のウイルスのようなありふれたウイルスであれば、体の免疫システムがすでに抗体を用意しています。ところが新型ウイルス感染の場合は、体内にない新しいウイルスだから、すぐに対応して抗体を作ることができないのです。抗体ができるまでのあいだは、間に合わせに白血球の一種である好中球でウイルスと戦うしかなく、そのため体内には大量の活性酸素が発生することになります。高齢者や弱った方々が肺炎などを併発して重症に陥るのは、この活性酸素によって臓器がダメージを与えられるからです。
一般に、体内に病原菌が入り込むと、細胞同士がサイトカインという情報伝達物質を出します。いわば「異常発生、注意せよ」という警報が鳴らされるわけですね。そのサイトカインが好中球を局所に限定するように働けばいいのですが、時として体内のいろいろな部分にそれを分散させてしまうことがあるんです。すると多臓器不全を惹き起こして、体力の衰えた高齢者の場合は死亡することも少なくないのです。
したがって、重要なのはスカベンジャーの摂取による活性酸素対策です。もちろん、まずはウイルスに感染しないよう、外から帰ったらうがいをしたり、手を洗ったりという予防策を講じるべきです。
でも、もし感染してしまったら、最悪の事態を避けることを考えなければなりません。十分なスカベンジャーを摂っていれば、ウイルスに感染しても、ある程度は肺炎などを防ぐことができるでしょう。とくに高齢者は自分でスカベンジャーを作る能力が低下しているから、ふだんから意識的に活性酸素対策を講じておくべきです。
スカベンジャーとなる食品をあげておきましょう。
ビタミンC(水溶性):レモン、イチゴ、ミカン、柿、パセリ、トマト、ブロッコリー、ピーマン、サツマイモ、番茶
ビタミンE(脂溶性):アーモンド、コムギ胚芽、大豆、落花生、ウナギ、シジミ、カツオ、アユ
カロチノイド(脂溶性):緑黄色野菜(ニンジン、カボチャ、トマトなど)、柑橘類、抹茶、
赤身の魚、海藻、卵黄、魚卵(タラコ、スジコ、ウニなど)
ポリフェノール(脂溶性):ゴマ、緑茶、赤ワイン、コーヒー、ショウガ、香辛料(グローブ、ナツメグなど)、ハープ
このように病気や老化の原因となる活性酸素を除去する物質「スカベンジャー」は、日常的な食品にも豊富に含まれているのです。